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とある凡人院生さんの旅にっき

ド素人旅人が旅について適当に書いていくブログ

ソ連の面影が残る素敵な場所 沿ドニエストル共和国

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こんばんは、ネフスかやあいりです。

 

10日ぶりに記事を書きました。前回は魅力満載のモルドバについてお話しましたが、今日はそれに関連してモルドバ東部に位置する沿ドニエストル共和国(略沿ドニ)について語ります。

 

え、沿ドニエストル共和国って何って?

 

 

ご安心下さい、今から説明します!

この記事を見たあなたは間違いなく沿ドニエストルに行きたくなることまちがいなしでしょう。

 

沿ドニエストル共和国ってな~に?

 

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画像元:https://en.wikipedia.org/wiki/Transnistria

 

 

上記の赤の部分が沿ドニエストル共和国です。沿ドニエストルモルドバ東部のドニエストル川東岸とウクライナ国境付近に位置する地域で正式名は沿ドニエストルモルドバ共和国です。ドニエストル川に沿ってるから沿ドニエストルです。首都はティラスポリ。人口は約50万人。言語はモルドバ語、ロシア語、ウクライナ語ですが、看板の表示のほとんどがロシア語であったことから公用語はロシア語といってもいいでしょう。

モルドバにとってこの地域はかなり厄介でソ連崩壊後長年にわたって悩みの種となっているのです。

 

実はこの共和国、かなり変わった地域なのです。どう変わっているのかといいますと、

 

独立国家であると主張しているものの、国際的にはモルドバ共和国の一部と見なされているので独立国家としては未承認。だが事実上は独立状態にある

 

つまり、簡単に言うと、非承認の国家なのです。

 

では沿ドニエストルの「独立している」ところを教えます。

 

まず一つは独自の通貨を持っていることです。単位は沿ドニエストルルーブルです。「ルーブル」が付いていますがロシアルーブルとは全くの別物です。

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沿ドニエストルルーブル。国を出ればただの紙クズになってしまいますが国内では立派な通貨です。

 

二つ目は、独自の国歌、大統領がいること。

国歌はYouTubeにもありますので興味がある人は聴いてみてはいかがでしょうか。

動画にあるのは沿ドニエストル共和国の国章です。モルドバと同様名産品であるぶどうが国章にあしらわれています。

 


National Anthem of Transnistria - "Слэвитэ сэ фий, Нистрене"

 

大統領は国民による選挙によって選出されていますが、親ロシア的な政治体制をとっているため、西欧路線のモルドバと対立関係にある要因の一つとなっています。

 

政治について話す前にまずは歴史を。

 

この地域はモルダヴィア公国ベッサラビア地域に併合されず(ドニエストル地域の都市ベンデルを除く)、ロシア帝国の国境防衛を目的にロシア人、ウクライナ人がこの地域に移住していました。ロシア革命後はソ連モルダヴィア自治共和国を形成しますが、1940年代にモルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国の一部になりました。

ソ連崩壊後にモルダヴィアモルドバ共和国として独立する一方で、ドニエストル東岸のロシア系住民は親ロシア運動を展開し、「沿ドニエストル共和国」としてモルダヴィアからの独立宣言をしますが、1992年にトランスニストリア紛争が勃発します。7月に和平協定締結後、平和維持軍によって停戦監視状態となりました。ロシアは完全撤退を約束するものの、結局守られず今に至っています。

 

2006年には沿ドニエストル共和国を国際的に承認された後にロシア編入をするか否かを決定する選挙が実施され、賛成派が多数を占める結果となります。しかし選挙の正当性に疑惑が浮上した上にアメリカやEUがこの住民投票を認めない姿勢を見せたために(ロシアのみが承認)、独立は実現しませんでした。

しかし!2014年にクリミアがロシアに編入された影響で、沿ドニエストル共和国は再びロシア編入の要求を見せるようになります。

 

歴史を見て頂ければお分かりですが、かなーり厄介な問題を抱えているわけです。何度か「親ロシア」というワードが登場していますが、実は沿ドニエストルはロシアが大好きなんですよね。ロシアというよりはソ連ですね。今でも沿ドニエストル共和国が発行するパスポートの表示もСССРですし、国章には堂々と鎌とハンマーが描かれています。沿ドニエストルの住民は未だにソ連の一員として認識しているらしいです。

 

あと、私が実際に訪問して驚いたのは、モルドバ国民と沿ドニエストルの住民が両国間を自由に行き来していたことです。どうやら彼らは身分証明書があれば行けるらしいです。 

 

◯旅行情報

 

1. 渡航に関する注意

 

沿ドニエストル共和国モルドバに旅行に行かれる方は必ず訪れる地域です。しかし、何度も言うように厄介な地域なので、渡航の際に過去にトラブルが生じたケースがあるのも現状です。

モルドバ沿ドニエストルの間には国境検問所があります。未承認国家とはいえ入国審査があり、その際にパスポートの提示と滞在目的、期間を申告する必要があります。審査後に個人情報と滞在目的が書かれた紙を渡されます。この紙は出国の際に提出しますので、滞在中は絶対に無くさないように持っておきます。また、紙には、「何時何分までに出国するように」といった表示があり、その時間までには出国するようにしましょう。

 

あと、一つ気をつけたいのが、パスポート提示の際には絶対にスタンプは押さないように。後の出入国に支障が出ます。

どうしても欲しい場合は別紙に押してもらうようにお願いすると良いでしょう。

また、未承認国家なので、公式の地図はありません!街自体は小さいので迷うことはないと思いますが、不安な方はグーグルマップを印刷するなどの準備をした方が無難です。

 

最も気をつけないといけないのは、ウクライナ間の移動の場合。

この場合、よく言われるのが賄賂の請求。聞いた話では、列車でウクライナから入国する際に不法入国とみなされ国境警備官から100$程の罰金を請求されたそうです。どうやら、モルドバウクライナ間の陸路での移動ではこうした不当な請求をされるケースが多数発生しているらしいです。

 

もう一つ、気をつけないといけないのが、ドニエストル経由でモルドバに入国し、それから他国に入る場合。

ドニエストル地域からモルドバに入る際ですが、モルドバ政府は独立国家として承認していないため、当然モルドバ入国スタンプは印押されません。もし、そのまま他国に入国すれば不法入国の疑いをかけられ、トラブルに発展する可能性があります。もしドニエストル経由でモルドバに入り、他国に入国してしまった場合は国境警備局に出頭して事情を話す必要があります。

もし、ウクライナからモルドバに行く場合は遠回りしてでもドニエストル地域は避けたほうが得策です。

 

また、モルドバには日本大使館がありません!そのため、モルドバ国内でトラブルが生じた場合は迅速に対応できない可能性があります。万が一何かあったら在ウクライナ日本大使館(兼モルドバ)に問い合わせましょう。

 

2. 移動

 

キシナウから行く場合、主な移動手段はバスです。市場のすぐ隣にあるバスターミナルからティラスポリ行が一日20本出ています。大型バスであったりマルシュルートカ(ロシアや旧ソ連圏で大活躍している小型バスの名称)であったりと様々。ですが、モルドバの道路はガタガタなので、バスの種類関係なくかなり揺れます。乗り物酔いし易い方は事前に酔い止め薬を飲みましょう。

チケットはバスターミナルの窓口で購入可能です。料金は32レイほど。

帰りも同様です。が、しかし!キシナウ行きの料金は行きと違ってかなり割高です。

料金の確認を事前にしときましょう。

 

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ティラスポリ行のバスの内観。蛍光色だらけでクソダサかったです。そしてなぜか前にテレビがあってロシアのアニメが垂れ流しにされていました。タイトル名は忘れましたが、狼とウサギのやつです。

 

 

3. お金

 

ティラスポリに到着後、両替所でドニエストルルーブルに換金します。換金所は駅や町中にありますが、レートは場所によって異なりますのでますはその確認をしましょう。ティラスポリ駅のルートはあまり良くありません。

また、上記に書いた通り、ドニエストルルーブルは他国ではただの紙クズになりますので、使用額を決めて出国までに使いきりましょう。

ドニエストルの一人あたりの総所得は320$程なので、物価は安いです。

使い切るのもよし、記念に取っておくのもよし、友達にプレゼントするのもよし。ドニエストルルーブルの使い道はあなた次第です。

 

4. 通信環境、食事、買い物

 

食事をする場所ですが、ご安心して下さい。レストランやカフェはちゃんとあります。

個人的にはアンディーズピザがあったことに驚きました。ヨーロッパではおなじみのオープンカフェもありました。

また、立派なスーパーマーケットもあり、キオスクも充実していました。食べるものや買い物に困ることはありません。

 

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そしてなんと、無料のWi-Fiもありました。これでリアルタイムでティラスポリの情報を伝えたりSNSで「沿ドニエストルなう」とつぶやいたりできるわけです。

 

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5. 治安

 

治安に関しては、状況によって変わりますが私が行った時はモルドバ本土よりは安定しているように思いました。ですが、他のヨーロッパ諸国に比べると良好とは言い難いので、荷物を自分の目に見える所に見張る、人気の少ない場所に行かない等の基本的なことを気をつければ大丈夫です。

しかし、日本の外務省HPにある海外安全情報の危険情報ではレヴェル1の「十分に注意して下さい」となっていますので、念の為に気をつけて下さい。

 

あと、ドニエストル民は政治思想に対してはかなりデリケートです。彼らは未だにソ連の一員としての自覚を強く持っているため、ソ連に対する批判を含んだ言動は慎みましょう。例え悪気がなかったとしても、相手は深刻に受け止める可能性もあるため、思わぬトラブルに発展する恐れがあります。

政治思想ほど扱いが難しいものはありません。これはドニエストルに限ったことではありませんので気をつけましょう。

 

また、モルドバ同様ドニエストル内にも多くの野犬が路上をうろついています。

狂犬病や他の感染症にかかる可能性がありますので、むやみに近づいたり触れたりしないように。大量に涎を垂らしている、フラフラしながらおぼつかない足取りで徘徊している、おかしな行動をしている野生動物を見かけたらその場を離れましょう。

狂犬病は発症後の死亡率がほぼ100%です。もし犬などに噛まれたらすぐに傷口を洗い、医療機関で治療、ワクチン接種を受けましょう。

 

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ティラスポリ駅前の野犬。野犬の集団に遭遇したら騒いだり驚いたりしないように。余計に彼らを刺激してしまい、襲撃されるおそれがあります。私はブカレストで三匹の野犬に吠えられながら追いかけられるという恐怖を味わいました。

 

 

 

 ティラスポリについて少し(?)話しましたが、この記事が今後「沿ドニに行くぜ」という人の役に立てれば幸いです。